片柳すすむ

かたやなぎ 進
日本共産党前川崎市議会議員
市議会傍聴レポート(議会活動報告) 活動レポート

JFE跡地に市が2050億円?!―市民の声を聞いて公害資料館や海と親しむ公園など川崎区の歴史ふまえた跡地利用を

2023年10月19日

10月17日、市民団体が共同で行った「川崎南部まちづくりツアー」。「JFEスチール跡地利用」について資料提供とお話をさせて頂いた第2回目です。

■川崎市JFE高炉中止に伴う土地利用方針

この方針は、約400ヘクタールのJFE跡地利用のために、水素供給拠点として港湾整備、扇島へのアクセス道路整備など、2050年までに整備を進めるもの。先行して扇島の一部を水素の供給拠点とし、大水深バースを整備するなど、2028年度利用開始、2050年までに官民合わせた事業費は2兆600億円、市は2050億円を負担する予定です。

■道路と港湾の事業費―事業者の自己負担が原則では?

市負担額2000億円のほとんどが道路と港湾の事業費(扇島へのアクセス道路、輸入水素を受け入れるための大水深バースの整備)。これまでの臨港道路東扇島水江町線、コンテナターミナル拡張事業は、事業の必要性の根拠とされたコンテナ取扱量が目標の3分の1で必要性が問われている。

扇島へのアクセス道路、大水深バースについても、扇島に構想に挙げている施設や企業が来るのかどうか分からず、同じことが起こる懸念が。道路整備などはJFE撤退後の跡地利用を、市が支援するもの。本来、一企業の跡地はその企業自身が責任を持って自己資金で行うのが筋。2000億円もの市民の税金を使うのか。

■「税収の確保」?投資する2千億円の回収に180年かかる

市長は「税収の確保のために必要」と言うが、市が見込む年間140億円の税収増のうち129億円は固定資産税、都市計画税(誰が土地や建物を所有していても市に入ってくる)で、実質の税収増は年11億円。2000億円の投資を回収するのに180年かかることに。

2023年3月議会・片柳一般質問より

 元々川崎区には遠浅の干潟と海があり、海苔や漁業も栄えていた。工業化と埋め立てがはじまり、JFEの前身の日本鋼管による大気汚染公害が大問題となり、工場は扇島へ集約・移転することに。1970年に公害防止協定、76年・79年に扇島の高炉2基が完成した。

□片柳 川崎市の「~土地利用に係る考え方」では、「脱炭素」を大きく示しつつ「大規模公園」も候補にあげている。公害の苦しみを刻み市民の生業と憩いの海が失われた歴史を残すために、干潟を復元し公害の記憶をとどめる機能を含めた公園とすべきでは。

 「土地利用検討会議」には学識経験者と企業代表しか参加せず、国の動向や方向性を意識した意見しか出されていない。公害被害者や元海苔生産者など歴史を知る市民に、なぜ意見を聞かなかったのか。

■川崎市 今後、国や事業者等の利害関係者と協議を重ね、具体化の検討を進める。

□片柳 第一次公害裁判の和解の際、日本鋼管はじめ加害13社は「事業所所在地域の一員であるとの認識のもとに、更に一層地域の皆様との友好関係を深め、地域の環境の改善をはか」る、と声明。後継のJFEが扇島から離れる。公害を理由に扇島に移転した経緯からも公害資料館が必要。

■川崎市 (現時点では新たな施設を考えていない、との主旨の回答)

□片柳 先導エリア以外の土地利用は2031年以降という計画であり、川崎の海を知る方々や公害被害者にいま意見を伺わなければ間に合わない。痛苦の歴史を土地利用に生かすために、意見を聞く機会を設けること、公園と公害資料館を設置することを求める。

片柳すすむ

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