3月8日の予算審査特別委員会で、質問を行いました。
今日紹介するのは「羽田新飛行ルートとコンビナート防災」です。
(この記事はメモを元にしたもので議事録ではありません)
質問① 直近1年間の離陸回数と、その1年前は?
次に、羽田新飛行ルートによる航空機事故についてです。
市長が臨海部工業地帯上空での飛行を禁止した通知を撤回して、羽田新ルートによる南風時のB滑走路からコンビナートへの離陸が始まってから、丸3年が経ちます。昨年10月までの直近1年間の離陸回数と1日あたりの離陸回数について伺います。その1年前の回数についても同様に伺います。
答弁① まちづくり局長
羽田新飛行経路についての御質問でございますが、
B滑走路からの離陸につきましては、令和3年11月から令和4年10月の期間のうち、離陸日数は147日でございまして、離陸回数は合計6,911回、 1日あたり平均47回でございます。
また、令和2年11月から令和3年10月の期間のうち、離陸日数は159日でございまして、離陸回数は合計5,624回、 1日あたり平均35回となっております。
質問② 航空機事故を「重要な災害」と考えていないのか
昨年より1日あたり12便、合計約1300便が増えており、それだけ事故の可能性も増えています。
コンビナート地域で航空機事故が起きれば計り知れない規模の災害が起きるのにもかかわらず、その被害想定すらされていません。そのために必要な防災アセスメント調査の実施を、この間の代表質問で県に要請するよう質問しても、市は「県から検討していないと聞いている」と言うだけでした。
消防庁は「コンビナート防災アセス指針で取り上げていない災害が重要と考えられる場合には…独自に評価を行うことを推奨」するとしています。実際に東京都のコンビナート防災アセスメント調査は、航空機災害を想定しています。東京都は羽田空港での航空機事故を「重要な災害」ととらえているということです。
東京都は「重要な災害」ととらえているのに、川崎市は、航空機によるコンビナート災害を重要とは考えていないということなのでしょうか。伺います。
答弁② 危機管理監
石油コンビナート等防災アセスメント調査についての御質問でございますが、
神奈川県では、消防庁の防災アセスメント調査方針に基づき、本市を含む県内の石油コンビナート地域で災害が発生した場合の影響等を調査し、平成27年度に調査報告書を取りまとめております。この調査では、地震の被害を対象にした評価に加え、火災や爆発等が拡大する大規模災害も想定されており、航空機に関する災害についても含まれるとの認識から、現時点では新たな調査を行う予定はないと伺っております。
本市の取組といたしましては、引き続き、県や東京航空局東京空港事務所との会議等を通じて連携強化を図るとともに、訓練の内容に工夫を凝らすなど、迅速柔軟な災害対応につながるよう進めてまいります。
質問③ 県に対しアセス調査実施を求めよ
独自の調査の予定はないとのことです。
このアセス調査の被害想定は、災害の発生確率をマトリクス(↑)で示し、
さらに「イベントツリー」(↑)といって例えばパイプラインが損傷した時に初期消火に成功したか失敗したか、タンクまで燃え広がる前に消火できたかできなかったか、など様々な可能性を分析・検討して、災害の発生確率や被害の大きさ、影響範囲などを明らかにしているものです。
東京都のアセス調査では航空機事故のイベントツリーも作成して被害想定を行っています(↑)。
川崎石油化学コンビナートは都内とは比較にならない規模であり、航空機がその上空に年間約7千便も飛ぶようになっています。「川崎市は航空機事故によるコンビナート災害を『重要な災害』とは考えていないのか」と質問したのに対し、「県から、新たな調査を行う予定はないと伺っている」との答弁でした。
羽田空港と隣接し、大規模な石油コンビナートを抱え、もし災害が起きれば大変な被害を受けるのは川崎市であり、川崎区民です。県に対してアセス調査を行うよう求めるべきです。伺います。
答弁③ 危機管理監
石油コンビナート等防災アセスメント調査についての御質問でございますが、
神奈川県は石油コンビナート等災害防止法に基づき、石油コンビナート等特別防災区域に係る事故や災害の未然防止及び拡大防止のため、「県石油コンビナート等防災計画」を定めており、県からは新たな調査を行う予定はないと伺っていることから、本市として現地点でのアセスメント調査を要請する予定はございません。
質問④ コンビナートの大規模事故想定した訓練を
一つ前の答弁では、東京空港事務所と合同の会議や訓練などを行ってきたとのことで、さらに訓練の内容に工夫を凝らすとのことでした。最悪のコンビナート事故を考えると、航空機からの落下物や墜落事故などでコンビナートの大規模災害に進展するのが最も大きな被害となると考えられます。
しかし、川崎駅に近い中央地域の市民や自主防災組織の方々には、まだ十分コンビナート大規模災害の際に、爆風や飛散物などがあり屋内避難が想定されていることは知らされていません。航空機の墜落・落下物事故を含めて、コンビナートの爆発などの大規模事故を想定した訓練を行うべきと思いますが、伺います。
答弁④ 危機管理監
災害に関する市民周知についての御質問でございますが、
災害対応に関する周知・啓発につきましては、地形や人口などの状況によりハザードに対するりスクに差があることから、地域特性に応じた対応が必要になるものと考えております。
臨海部を抱える川崎区では、防災訓練での講座や冊子の配布等を通じて啓発を行ってまいりましたが、実際の避難行動につきましては、津波避難訓練としての実施はあるものの、コンビナート火災に関する避難訓練は行っておりません。
今後につきましては、各種災害による避難行動の違い等について、住民の皆様に関係局区と連携し、様々な機会を捉えて、情報を受けた際の行動についてイメージを働かせるような啓発に取り組み、地域防災力の向上を目指してまいります。
意見要望
県の大規模災害の想定に航空機災害も含まれているので、市から県にさらなるアセス調査を求める予定はないとのことです。
「令和4年交通安全白書」を見ると、飛行回数100万回あたりの航空事故の発生率は国内の航空運送事業者で1.53回、国外の航空運送事業者等では6.87回です。国内の運送業者の比率が約55%、新ルートによるコンビナート上空への離陸が年間約7千便ということから見ると、このルート上で40年に1回程度の事故の可能性があるということです。「想定外」では済まされません。事故の危険に直面している川崎市が、その危険に向き合った対応をするよう強く求めます。