9月20日の決算審査特別委員会の文教分科会でこども未来局に幼稚園保育料補助について質問しました。ご報告いたします。
質問① 幼稚園保育料補助―市の支出額は?
4款1項1目こども青少年総務費のうち、私立幼稚園・園児保育料補助事業についてです。
決算額は21億4468万円余となっていますが、そのうち川崎市の支出した額について伺います。
答弁①
私立幼稚園園児保育料等補助事業についての御質問でございますが、平成30年度の決算額につきましては、一般財源は、15億2千144万円余となっております。
質問② 「無償化」後の一般財源支出見込み額は?
今年2019年10月からのいわゆる幼児教育・保育の無償化が実施される予定とされていますが、通年で無償化が行われた場合に本市が支出するおおよその見込み額について伺います。また2018年度の支出額との差額もお示しください。
答弁②
無償化による支出見込額についての御質問でございますが、令和元年度予算上の対象人数により算定しますと、通年では一般財源は14億133万円余で、平成30年度との差額は1億2千11万円余と見込まれているところでございます。
質問③ 世田谷区は月1000円、大田区は月8000円の独自補助。川崎市も上乗せ補助を
無償化により1億2011万円余の差額が生じることになる、との答弁でした。
私たち日本共産党市議団は、今回のいわゆる無償化措置では、低所得層ほど負担が重いという逆進性を特徴とする消費税の10%への増税を財源としていること、無償化措置の恩恵をより多く受けるのが比較的所得の高い層であることを指摘してきました。また無償化措置を行っても本市の場合、3年保育の場合で約30万円の自己負担額が生まれることを指摘し、真に無償と言えるようにさらなる支援策を求めてきました。また本市と隣接する世田谷区では月あたり東京都の1800円補助に加え、区独自に1000円を補助しています。大田区でも都の補助に加え、区独自に月額8千円から1万2900円を補助するなど、国の制度に上乗せする自治体が広がっています。また、どちらも従来行っていた入園料補助も継続しています。
こうした諸点からも、生じる差額1億2011万円余については、無償化制度の設計上恩恵を受けられなかった層をはじめ、市の独自補助に充てるべきだと考えますが、伺います。
答弁③
幼児教育の無償化についての御質問でございますが、本市の私学助成を受ける幼稚園の保育料については、全国平均より高い水準であることは認識しておりますが、10月から幼児教育・保育の無償化が実施されることにより、多くの保護者の負担軽減が図られますことから、無償化後におけるさらなる軽減につきましては、国や他都市の動向等に注視しながら、幼児教育の充実に努めてまいりたいと存じます。
意見・要望 「無償化」でも「まったく負担軽減されない」方はじめ市の補助を
多くの保護者は負担軽減となる、他都市の動向を注視する、との答弁ですが、今回の幼保無償化では全く負担軽減にならないという人が、Aランクで38人、Bランクで449人、Cランクで110人、Dランクでも187人、Eランクでは206人、合計990人います。そのうち約6割が年収360万円未満に相当する世帯、生活保護世帯などです。
この990人で先ほどの差額1億2千万円を割れば、一人あたり約12万円ということになります。国の制度実施に合わせて市独自に措置を講ずることを求めます。
こども未来局は2年前の「子どもの貧困対策の基本的な考え方」で、「子ども・若者が社会的に自立していくためには、主に経済力・学力・非認知能力が必要な要素だ」「しかしその3つの要素を全て持ちながら成長するのは家庭の状況によっては非常に難しい」としました。
そして『施策推進の方向性』として「母子保健、保育・幼児教育、学校教育…すべての子ども・若者の成長を支える制度・施策について『子どもの貧困』の予防的視点を持って底上げを図る」と述べました。
「非認知能力を高める役割を果たしているのが幼稚園だ」と幼児教育の関係者の方々も強調されていました。家庭の状況で幼児教育を受けることができない子どもが生まれないようにすることこそ、『子どもの貧困対策の基本的考え方』の方向ではないでしょうか。幼稚園保育料補助についても、他の制度についてもこの『考え方』の立場からよく検討することを求めて質問を終わります。
*この質問で取り上げた「(「幼保無償化」にもかかわらず)まったく負担軽減がされない層」は上の表のとおりです。