きょうの市議会・文教委員会で川崎市人権施策推進協議会”による『ヘイトスピーチ対策に関する提言』を審議しました。市長が優先的な審議を要請していた協議会からの提言です。
提言の内容(http://www.city.kawasaki.jp/250/page/0000082719.html)はかなり深いのでぜひ読んでほしいのですが、ポイントは以下のとおりです。
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≪項目1 公的施設の利用に関するガイドラインの策定≫
ヘイトスピーチによる市民の被害を防止するため、市が所管する公的施設(公園、市民館等)において、ヘイトスピーチが行われないよう対処する必要がある。
そのためには条例の制定又は改正をすべきであるが、当面は、各施設の既存の条例の解釈を明確化すべく、早急に、公的施設の利用に関するガイドラインを策定する必要がある。
≪項目2 インターネット上の対策≫
インターネット上のヘイトスピーチによる被害は深刻であり、その解消に向けた対策を、積極的に講じていく必要がある。具体的には、SNSを活用した発信や、積極的な削除要請などを行う必要がある。
≪項目3 制定すべき条例の検討≫
項目1及び2の対応が早急に求められるが、ヘイトスピーチ対策はそれで終わるものではない。人権全般を見据えた条例の制定に必要な作業に入るべきである。
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市民文化局・人権男女共同参画室から提言についての報告があり、質疑になりました。私は以下の数点を質問しました(質問をしながらのメモなので答弁などは不正確なものです。後ほど発表される正式な議事録をご参照ください)。太字が質問、矢印の後が市民文化局の答弁です。
(1)この提言の内容で、市は具体化するということなのか
→市が独自に研究調査しているので、それをふまえて迅速に具体化したい。
(2)ヘイトスピーチに対して事前規制するということになるが、表現の自由との関係などはどのようにクリアするのか。協議会での議論の内容と市の対応方向を教えてほしい
→協議会や部会でも主題となったテーマ。慎重に充分な検討を行って具体化したい。
(3)法務省がヘイトスピーチ解消法の解釈指針を示したと報道されているが、どのようなもので、今後のガイドラインや条例にどう生かすのか
→12月27日に参考資料として法務省から示された。「これがヘイトスピーチだ」というところまで具体的に示されたわけではなく、文脈等で変わるものなのだが、参考にしたい。
(4)SNSでの発信について、提言は「客観的事実に基づき誤っている情報を市が質していくような発信が必要」と言っているが、ヘイトスピーチは明らかな虚偽の情報を元に発信・拡散されていることが多く見受けられる。行政が積極的に発信していくことが必要。ヘイトスピーチの「削除要請」について。当事者が削除要請することはハードルが高い。差別を受けた当事者が自らに向けられた差別的言動を自らの手で再現して削除要請をするということになり、二次被害となりかねない。これらを積極的にすすめる必要があると思うがどのように進めるのか。
→広島県福山市などで職員が毎日1時間ほどネット検索し、差別発言について削除要請する取り組みがされている。こうしたことを参考に具体化したい。
(5)「条例をつくることが必要だが、取り急ぎガイドラインで対応する」という主旨の提言だが、条例化にどのように進むのか、局長に伺う。
→既存の条例を改正するには時間がかかるので、それまでの間に解釈で対応しようというのがガイドラインの主旨。条例については「改正または制定」と提言が言っている。横串の条例で既存の条例を串刺しにするというようなイメージもある。
(6)―再質問→SNSについて、これまでの質疑では「ネットパトロール」の議論が中心になったが、提言が強調しているのは「SNSでの発信」だ。提言16ページでは「多文化共生の市の施策や取り組みを積極的に発信することが必要」「ヘイトデマへの対処としても有効」と言っている。特別にSNSで書かれた差別発言に反論することを求めているのではなく、「発信」が求められている。市の公式情報として市の施策を発信することは問題なくできるはず。市がデマを公式に否定することに大きな意味があり、関心ある市民がシェア・拡散してくれることになると思う。ぜひ取り組んでほしい。
→先ほど答弁したとおり、検討しているところ。
(7)―意見要望→これまでわが党は代表質問でも「第三者機関も設置して、公共施設使用許可・不許可の条件を規定した条例等の整備を」と訴えてきた。ひきつづく取り組みを。
他の問題だと、各党・会派の意見がぶつかることもあるのですが、ヘイトスピーチ問題は「オール川崎」で取り組んできたので、気持ちよく審議することができました。他会派の質問で「ガイドラインは今年秋を目途に進めたい」との答弁もありました。着実に一歩一歩進めたいですね。